ローコード開発とプログラミング:エンジニアとノンエンジニアの新しい協働スタイル | FLASPO MAGAZINE

ローコード開発とプログラミング:エンジニアとノンエンジニアの新しい協働スタイル

ローコード開発とプログラミング:エンジニアとノンエンジニアの新しい協働スタイル

ローコード開発とは何か:プログラミング不要で作れる時代の背景

ローコード(Low-Code)開発とは、従来のプログラミングコードの記述量を大幅に削減し、視覚的なインターフェースや設定ベースの操作でアプリケーションを構築できる開発手法・ツールです。ドラッグ&ドロップでUI(画面)を作り、設定パネルでロジック(処理)を組み立て、少量のコードでカスタマイズする、というスタイルが特徴です。

国内ローコード/ノーコード市場は成長を続けており、ミック経済研究所の調査によるとローコードプラットフォームは2024年度に3,178億円規模となっています(出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「ローコード/ノーコードプラットフォームソリューション市場動向 2025年度版」)。背景にはエンジニア不足の深刻化があり、エンジニアでない業務担当者が自分でアプリを作れる「シチズンデベロッパー(市民開発者)」の育成が企業の課題になっています。

ローコードとフルコード(通常のプログラミング)の関係は「対立」ではなく「補完」です。ローコードが得意な定型業務の自動化・社内ツール構築はローコードに任せ、複雑なロジック・高パフォーマンスが必要な部分はフルコードで対応するという「ハイブリッド開発」が現場のベストプラクティスです。

主要ローコードツール5選:特徴と使い分け

国内外で広く使われている主要なローコードツールを紹介します。

【1. Microsoft Power Apps / Power Automate】 Microsoftが提供するローコードプラットフォームです。Excel・SharePoint・TeamsなどMicrosoft 365との連携が強力で、社内業務アプリ・ワークフロー自動化に最適です。多くの日本企業がMicrosoft環境を使っているため、DX推進の最初の一手として採用されています。

【2. Salesforce Experience Cloud / Flow】 CRM(顧客管理)のSalesforceが提供するローコードです。営業・サービス・マーケティング部門のアプリ・自動化フローを構築できます。大企業のSalesforce環境でのカスタマイズ需要が高く、SalesforceのAdmin/Developer資格は市場価値が高いです。

【3. Bubble】 フロントエンドのUIからバックエンドのロジック・データベースまでをノーコードで構築できるWebアプリプラットフォームです。スタートアップのMVP(最小機能製品)開発での採用例が多くあります。

【4. Zapier / Make(Integromat)】 複数のWebサービスをAPI接続して自動化フローを作るツールです。「Googleフォームへの回答を自動でSlackに通知する」などのイベント連携を、プログラミングなしで設定できます。

【5. Notion API + Zapier】 NotionとZapierを組み合わせることで、データベース型のNotionページをCMSとして使いながら、情報更新の自動化が実現できます。スタートアップ・中小企業での利用が増えています。

プログラミングとローコードの組み合わせ:ハイブリッド開発の実践

ローコードとフルコードを使い分ける「ハイブリッド開発」の具体的な事例を紹介します。

【事例1 社内DXプロジェクト】 製造業の中小企業で、生産管理データの入力フォームと集計ダッシュボードをPower Appsで構築し、既存の基幹システム(ERPなど)とのデータ連携部分だけをPythonスクリプトで実装した事例があります。開発期間が従来の半分に短縮され、保守は業務担当者が自分で対応できるようになりました。

【事例2 スタートアップのMVP開発】 Webサービスのスタートアップが、最初のMVPをBubbleで2週間で構築・リリースし、ユーザー検証の後に本格的なNext.js+Django構成に作り直した事例があります。ローコードで検証を早め、フルコードで品質を高めるという順序が効果的でした。

【プログラマーがローコードを学ぶ意義】 プログラミングスキルを持つ人がローコードを使うと、ツールの設定だけでできる範囲を理解した上で、必要な部分にのみコードを書く「最適な手段の選択」ができます。また、ローコードツールの「拡張ポイント(カスタムコードを書ける部分)」を活用することで、ツールの限界を超えた機能実装が可能になります。

ローコードスキルでキャリアに活かす:IT業界での需要と就活・副業への応用

ローコードスキルはIT業界でどのように評価されているかを解説します。

【IT業界でのローコード人材需要】 企業のDX推進担当者・IT部門のBizDevエンジニア・Salesforceアドミニストレーター・Power Platform開発者などのポジションでローコードスキルが求められています。特にSalesforceはCRM市場のシェア首位を保っており、資格保有者の年収は世界的に高い水準です。

【就活でのアピール】 非IT系の企業であっても「Power AppsやPower Automateを使って業務を自動化した経験」は、DX推進文脈で評価されます。「Excelマクロを書いた」経験がある場合も、ローコードツールへの適応力のアピールにつながります。

【副業での活用】 Zapier・Makeを使ったWebサービス連携・自動化の設定代行は副業案件として存在します。WordPressサイトの制作に加えてZapierでのリード獲得自動化を一緒に提案することで、単価が上がるケースもあります。

ローコードは「プログラミングができなくてもいいツール」ではなく「プログラミングスキルをさらに活かすためのツール」として捉えることで、より広い課題解決力を持てます。

ローコードとプログラミングに関するよくある質問(FAQ)

Q. ローコードを学べばプログラミングを学ばなくていいですか?

A. ローコードで解決できる課題には限界があります。複雑なロジック・高パフォーマンスが必要な処理・既存システムとの深い統合はプログラミングが必要です。ローコードを補助ツールとして活用しながら、プログラミングスキルも並行して習得することを推奨します。

Q. ローコードツールを学ぶのに費用はかかりますか?

A. Microsoft Power AppsはMicrosoft 365の契約に含まれる場合が多く、Zapierは一定の無料枠があります。Bubbleは無料プランで基本的な開発が可能です。学習コストをかけずに試せるツールが多いです。

Q. ノーコードとローコードはどう違いますか?

A. ノーコードは一切のプログラミングコードなしで構築できるツールで、ローコードは少量のコードを書ける拡張性を持ったものです。「コードを書ける人に拡張性を与える」のがローコード、「コードを書けない人でも使える」のがノーコードという区分が一般的です。

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