<第5弾>FLASPO × SMOUT"推し地域の魅力"エッセイコンテスト 投稿エッセイ作品を大公開! | FLASPO MAGAZINE

<第5弾>FLASPO × SMOUT”推し地域の魅力”エッセイコンテスト 投稿エッセイ作品を大公開!

若者が「自分だけが知る“推し地域”」の魅力を自由に綴ることを通じて、地域と若者・企業がつながる機会を生み出すエッセイコンテストを、2025年7-8月にFLASPOと地域とつながるプラットフォーム「SMOUT」 が共同開催!
全国各地から合計70以上の”推し地域”をテーマとした作品が集まりました!

そこで、第5弾の今回も、惜しくも受賞しなかった素晴らしい作品たちをご紹介します!

読むと、地域に関わりたくなる、自分も地域の魅力を言葉にしたくなる、心に残る作品ばかりです!

※コンテスト概要はこちら👇


<エッセイ紹介>

(21)「横浜を一望できるキャベツロード」(ペンネーム:加古稔)

大学時代、部活動の行き帰りやアルバイトで何度も通った道がある。練習場そのものより、そばに広がる「キャベツロード」の光景の方が、なぜか今も心に残っている。

キャベツロードは、駅から山の上にある大学へと続く道。両脇にはキャベツ畑が広がり、民家の庭先には野菜や洗濯物が並んでいる。都会の横浜に、こんなのどかな場所があるとは思わなかった。特に印象に残るのは、途中の橋の上からの眺めだ。眼下には高速道路が走り、大きなトラックがひっきりなしに行き交う。その無機質な光景と、すぐそばに広がる畑や民家の温かい暮らしが、同じ場所に同居している。その先には遠くみなとみらいの高層ビル群が霞んで見え、華やかな都会と日常の温もりが一度に視界に入る。この風景のギャップに、いつも胸が高鳴った。

部活動の練習に通った日々は忙しく、道そのものを意識する余裕はなかった。それでも、何度も歩くうちに自然と目に焼きついた光景があった。朝もやに包まれた畑、高速道路を走るトラックの屋根、雨に濡れた坂道。毎日の通学や帰宅のささいな時間が、いつしか私の記憶の風景として積み重なっていった。大学生活の間は、何気ない日常の一部として通り過ぎていたけれど、卒業して振り返ると、その道が私にとって特別な場所になっていることに気づく。

横浜といえば、多くの人はみなとみらいの観覧車や夜景を思い浮かべるだろう。しかし、私にとっての横浜はそれだけではない。キャベツ畑や民家のある景色、地元に繋がる高速道路、遠くに見えるビル群。そのすべてが同時に目に入るキャベツロードは、華やかさと生活の温もりが共存する、横浜のもう一つの顔だ。観光地ではないけれど、日常の中でしか味わえない地域の魅力がある。

この道を歩くたび、地域には人々の暮らしと自然が息づき、時間がゆっくり流れていることを感じる。学生時代には気づかなかった風景の色や匂い、音のすべてが、今の私にとってかけがえのない記憶だ。キャベツロードは、私にとって横浜の心臓のような場所であり、都会と暮らし、そして地元が交差する、忘れられない光景である。

推し地域= 神奈川県横浜市保土ケ谷区

「キャベツロードへ至る起点」

(22)「私の当たり前」(ペンネーム:もぐら)

私は23歳です。生まれてから約20年間、ずっと岐阜県に住んでいました。当時はとにかく東京に出たい、岐阜弁ってなんなんだ、なにをすることがあるんだ、外の世界を知りたく、とにかくとにかく岐阜というものを理解していませんでした。理解できないのも当然。だって当たり前から離れることでそのものの良さを知るんです。毎日お母さんが作ってくれるご飯をたべていたからこそ外食の特別さ、マクドナルドのポテトを食べる背徳感を覚える。毎日当たり前があることによってうれしい感情が成り立っている。
上京して3年がたつ頃、私は東京で過ごしていく中でも『岐阜』という言葉に強く反応するようになりました。『美濃焼専門店』『関市の包丁』無意識にそのお店や物に近づいていきました。それが地元を愛するきっかけとなったのです。岐阜から離れることで気づく特別さに。
ある大学の夏休みの日、家族と岐阜駅で待ち合わせをし、岐阜旅行をしようと思い立ちました。岐阜というのは、下呂温泉、白川郷、鵜飼、観光名所はたくさんあるんです。しかし、なんだか粋になりたいなと。なんとなく当たり前だからこそ気が付けなかった場所にいきたいなと。
そこで選んだのが岐阜県美濃市なんです。実は私も、初めて行きました。当たり前だからこそいったことがなかったんですよね。あえてどういう町かは詳しく言わないことにします。私の当たり前だった地域『美濃市』に行ってみてください。私の当たり前につつまれた旅を感じてみてほしいです。そこであなたはどう感じたのか、次の行き先、自分の当たり前に行ってみようかな。そう思ってくれたらあなたの周りの人も、私もうれしく思います。

推し地域=岐阜県美濃市

「美濃和紙のかき氷アート。当たり前を取り戻してくれる」

(23)「海風と人情が宿る町」(ペンネーム:ukey)

石川県七尾市に三週間ほど滞在したのは、旅行ではなく免許合宿だった。観光地を巡るのとは違い、日常の暮らしに近い時間を過ごせたからこそ、この町の本当の姿に触れることができた。
路上教習では、歩行者や自転車の人々が笑顔で道を譲ってくれる。夕方、自転車で薬局に向かっていたときには、知らないおじさんから「さっきは道を譲ってくれてありがとう!免許、頑張ってね!」と声をかけられた。旅行者として一瞬立ち寄っただけでは得られない、温かい交流だった。

自転車で和倉温泉に足を伸ばしたこともあるが、改装中で足湯しか利用できなかった。それを教習所のスタッフに話すと、「七尾から和倉まで自転車で行くなんて、すごい。結構距離あるよ!」と笑われた。町の人との距離感の近さが嬉しかった。

食事も格別だった。毎回写真を撮るほど美味しく、特に海鮮の新鮮さには驚かされた。帰りに買った輪島漆のカレースプーンは、今も日常で活躍している。電車は一本逃すと二時間待ちという不便さがあったが、駅員さんが切符の買い間違いにすぐ気づき「これだと関西まで帰れないよ」と直してくれたのも忘れられない。

滞在中は、地元ではあまり飲まないというほうじ茶や日本茶を毎日のように楽しんだ。澄んだ空気や水のおかげか、帰阪したときに親から「肌がきれいになった」と言われたほどだ。短期間ながら、旅行ではなく「暮らすように滞在した」からこそ、七尾の自然や人の温かさが心にも体にも染み込んだのだと思う。

七尾は、旅人を一見客ではなく、生活の一部に迎え入れてくれる町だった。免許合宿という少し特別な形で過ごした時間だからこそ、その魅力を深く味わえたのだと思う。

推し地域=バリ島 シデメン

「海風と人情が宿る町」

(24) 「琵琶湖の時間のなかに」(ペンネーム:東沖和季)

僕の推し地域は、滋賀県大津市や膳所など、琵琶湖の周辺です。

滋賀県は訪日外国人の人数が全国33位(2019年)1、都道府県魅力度ランキングで全国40位(2024年)2と、あまり知られていません。しかし間違いなく、これから来る都道府県だと思います。

その理由の一つは文化です。宮島未奈さん著『成瀬は天下を取りにいく』が、2024年本屋大賞を受賞しました。本作の聖地である膳所駅には大きなポスターが貼られています。文庫本を手に、ポスターを背景にして写真を撮っている、いわゆる「聖地巡礼」の方々もいました。

また、2024年は大河ドラマ『光る君へ』の年です。紫式部が源氏物語の着想を得た石山寺など、ゆかりのある場所が多いのです。古典ブームの再来と共に、琵琶湖地域にも注目が集まりました。

実は滋賀県は文化の地域です。公立図書館の一人あたり図書貸出冊数は、東京に次いで全国2位*3 となっています。

人口減と少子化に抗う地域でもあります。出生率は全国3位4 、年少人口割合は全国2位です。5
そして長寿の地域です。男性の平均寿命は全国1位、女性の平均寿命は全国2位を誇っています。*6

ここまでは文化と暮らしの魅力を列挙してきました。しかし琵琶湖地域を推す理由は、それだけではありません。景色と人が良いんです。

言わずもがな琵琶湖は全国で、最も大きな湖です。ほとんど海のように見えます。琵琶湖周辺の時間の流れは、とっても不思議です。湖面に浮かぶ穏やかな波のように、緩やかに流れています。一度は訪れてみてほしい。

滋賀県の土地と人を、かの松尾芭蕉も詠みました。大津へ向かう途中の作『山路来て何やらゆかし菫草』は、あまりにも有名です。『行く春を近江の人と惜しみける』は、今も昔も変わらない近江の、あたたかい人情を表現しています。『四方より花吹き入れて鳰の波』琵琶湖を「鳰の海」と呼ぶことがあります。その要素を取り入れた本句は、印象的な美しさを湛えています。

大津駅に着いて真っ先に食べた、そば處やま喜さんの店員さん。ホテルの受付の方たち。丁寧に解説してくださった義仲寺の寺務員さん。みんな素敵な人たちでした。

思い出して書いていると行きたくなってきます。旅行なんてほとんどしない僕も不思議と落ち着ける、風光明媚な場所でした。

京都も素敵ですが、そこから僅か二駅、大津駅にも寄ってみてはいかがでしょうか。きっと素敵な旅になります。

推し地域=滋賀県 琵琶湖周辺

「空と山と水と人と」

(25) 「浜松にもあるよ」(ペンネーム:やみやなゆ)

政令指定都市だけど、ほかの地域の人が新幹線を乗る時に、浜松を通り過ぎて、東京に到着するのが日常的になっていたり、夏になれば、暑くて暑くて、冬になれば、空っ風が強いなど住みやすい都市ですが、外を歩くときはかなりキツイと感じてしまう。
しかし、ボクは、なんだか愛着感が湧いてくる。
生まれてから浜松にいるボクは、浜松の嫌なところを熟知していますが、同時に、好きなところもところどころ知っています。
それは、浜松贔屓かもしれないが、ボクは
浜松に住んでいて、楽チンだと感じる。
大都市のような密集したギツギツ感がなくて、地域の人も穏やかに暮らして、
交通網もある程度あるため、行きたいところにすぐ行けるのは、とても素晴らしい。
他の地域に行かなくても、浜松で自己完結してしまうのが、短所でもあり、長所でもある。
浜松に暮らしていて、嫌なところはたくさんありますが、浜松に住んでいるから、見つかることもあったりします。
もしかしたら、推しと似通うような浜松という都市を愛しているから、ずっと暮らしていけるのかもしれない。
まだまだ、浜松の魅力はたくさんあるので、
できる限り、ボク自身で発信できたら幸いです。

推し地域= 静岡県浜松市

「浜松だってあるんだからさ」

ぜひあなたも自分の”推し”地域を想い、言葉にしてみるのはいかがでしょうか!

次回第5弾もお楽しみに!


第1弾(コンテスト受賞作品5選)はこちらから👇

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